ハコガメの種類と選び方|初心者に飼いやすいのはどれ?

甲羅を完全に閉じたハコガメ

ハコガメを飼ってみたいと思ったとき、最初の分かれ道が「どの種類にするか」です。ひとくちにハコガメといっても、水辺を好む種類から森の落ち葉の中で暮らす種類までいて、必要な環境がかなり違います。

種類選びを間違えると、あとから設備を作り直すことになったり、その種類に合わない環境で調子を崩したりしがちです。逆に、自分が用意できる環境に合った種類を選べば、飼育はぐっと安定します。

この記事では、ハコガメの仲間を環境タイプで整理し、流通の多い主要種の特徴、初心者に向く種類、購入時に必ず確認したい法規制まで、飼育・繁殖の経験を交えてまとめます。

結論

先に要点をまとめると、種類選びは「名前」ではなく「水辺系か、森林系か」という環境タイプから決めるのが失敗しにくい順番です。水場中心の飼育がしやすいならマレーハコガメ、湿度のある陸場を作れるならアメリカハコガメ属(ミツユビハコガメなど)やセマルハコガメが代表的な選択肢になります。

初心者には、流通が安定していて情報が多い種類のCB個体(飼育下で繁殖された個体)をおすすめします。そして購入前には、種類ごとの法規制の確認を忘れないでください(記事後半で解説します)。

ハコガメとは|「箱」になれるカメ

ハコガメの最大の特徴は、腹甲(おなか側の甲羅)に蝶番(ちょうつがい)があり、頭と手足をしまったあと甲羅をぴったり閉じて「箱」のようになれることです。この防御スタイルが名前の由来です。

「ハコガメ」と呼ばれるカメは大きく2つのグループに分かれます。アジアに分布するアジアハコガメの仲間(セマルハコガメ、マレーハコガメなど)と、北米に分布するアメリカハコガメ属(トウブハコガメ、ミツユビハコガメなど)です。どちらも「半地上性」で、リクガメほど乾燥した環境でも、ミズガメのような水槽飼育でもない、湿度のある陸場と浅い水場を組み合わせた環境が基本になります。

まず環境タイプで分ける|水辺系と森林系

水辺系は、しっかりした水場を主役にした、アクアテラリウム寄りの飼育です。マレーハコガメが代表で、ハコガメの仲間では例外的に水生傾向が強く、泳ぎも得意なタイプ。泳げる深さの水場と、足のつく浅い休息スペースの両方を用意し、上陸して体を乾かせる乾いた陸場を添えるのが基本です。水換えの手間はありますが、湿度は水場が支えてくれます。

森林系は、保湿性のある床材を敷いた陸場が主役で、全身が浸かれる浅い水入れを置くイメージです。アメリカハコガメ属やセマルハコガメがこちらで、湿度を保つ工夫(床材・霧吹き・通気のバランス)が飼育の中心になります。湿度調整の記事で詳しく解説しています。

自宅で用意しやすいのはどちらのタイプか──これを先に決めると、種類の候補は自然に絞られます。

主要な種類のミニ図鑑

マレーハコガメ(水辺系)

東南アジアに広く分布し、流通量も比較的多いハコガメです。ハコガメの仲間の中では際立って水生傾向が強く、泳ぎが得意で、水場で過ごす時間が長いのが特徴です。飼育では、泳げる深さの水場と足のつく浅瀬を用意し、上陸して体を乾かせる乾いた陸場を組み合わせた、水ガメに近いアクアテラリウム的なレイアウトが向いています。雑食で餌付きやすく、加温は必要ですが「初心者に飼いやすいハコガメ」として名前が挙がることの多い種類です。詳しくはマレーハコガメの飼い方にまとめています。

セマルハコガメ(森林系)

台湾や中国南部などに分布し、丸みのある甲羅と控えめな性格で人気の種類です。湿度のある森林系の環境を好みます。注意点として、日本の八重山諸島の個体群(ヤエヤマセマルハコガメ)は国指定天然記念物で、捕獲も飼育もできません。流通しているのは海外由来のCB個体などで、購入時は出どころの確認が特に大切な種類です。詳しくはセマルハコガメの飼い方にまとめています。

トウブハコガメ(森林系)

北米東部に分布するアメリカハコガメ属の代表種で、黄色やオレンジの放射模様は個体差が大きく、模様の美しさで選ぶ楽しみがあります。湿度高めの環境を好み、乾燥に弱い面があるため、森林系の環境づくりがそのまま当てはまります。わが家で飼育・繁殖している種類のひとつです(後述)。詳しくはトウブハコガメの飼い方にまとめています。

ミツユビハコガメ(森林系)

トウブハコガメの亜種のひとつで、後ろ足の指が3本のことが多いことからこの名前があります。アメリカハコガメ属の中では丈夫で環境の許容範囲が広いとされ、アメリカ系ハコガメの入門種としてよく名前が挙がります。地味に見えて、頭部が赤やオレンジに染まる個体もいて奥が深い種類です。詳しくはミツユビハコガメの飼い方にまとめています。

フロリダハコガメ(森林系)

同じくトウブハコガメの亜種で、暗色の甲羅に細かい黄色の放射模様が入る、カロリナハコガメの中でもとくに華やかとされるタイプです。甲長12〜15cm前後と小柄にまとまりますが、フロリダの温暖な地域の出身のため、寒さと乾燥に弱いとされます。飼育下では冬眠させず通年加温が基本で、保温・保湿を厚めに整えたい亜種です。詳しくはフロリダハコガメの飼い方にまとめています。

ガルフコーストハコガメ(森林系)

同じくトウブハコガメの亜種で、アメリカハコガメ属では大きめに育つタイプです。体が大きいぶん存在感がありますが、そのぶん広めの飼育スペースが必要になります。多湿を好む傾向はトウブと同様です。

ニシキハコガメ(乾燥寄りの森林系)

北米の草原地帯に分布し、アメリカハコガメ属の中ではやや乾燥に強いタイプとされます。ただし「乾燥に強い=乾燥飼育でよい」ではなく、湿度のある隠れ家は必要です。流通量は多くないため、見かけたら状態をよく確認して選びます。

モエギハコガメ(涼しめの森林系)

ベトナムや中国南部など、インドシナ方面の標高の高い森にすむアジア系のハコガメで、萌黄(もえぎ)色がかった明るい甲羅の色彩が名前の由来とされます。高地育ちのため暑さが苦手とされ、日本の夏は保温よりむしろ「涼しく保つ」工夫が必要になる、少し特殊なタイプです。多湿を好む点は森林系と共通ですが、環境の要求がややシビアで神経質な面もあるとされるため、どちらかといえば飼育経験を積んでから検討したい種類です。

初心者に向くのはどれか

「はじめての1匹」という視点なら、次の2つの条件で選ぶのが現実的です。ひとつは流通が安定していて飼育情報が多いこと、もうひとつはCB個体が手に入ることです。この条件だと、水辺系ならマレーハコガメ、森林系ならミツユビハコガメあたりが有力候補になります。

トウブハコガメやセマルハコガメも魅力的な選択肢ですが、湿度管理の比重が大きいので、湿度冬の温度の管理をひと通りイメージしてから迎えると安心です。必要な用品は種類が違っても共通部分が多いので、最初に必要な用品一覧から確認してみてください。

また、ハコガメは数十年単位で生きることもある長寿なカメです。お迎えを決める前に寿命と大きさ飼育費用の目安にも目を通しておくと、長いつき合いのイメージがつかみやすくなります。

購入前に必ず確認したい法規制

ハコガメの仲間は、種類や産地によって扱いのルールが異なります。代表的な注意点は次のとおりです。

  • ヤエヤマセマルハコガメ(日本の個体群)は国指定天然記念物で、捕獲・飼育はできません。野外で見つけても持ち帰らないでください。
  • ハコガメの多くはワシントン条約(CITES)の対象で、国際取引が規制されています。国内で流通している個体を正規ルートで購入するぶんには問題ありませんが、個人輸入や出どころ不明の個体は避けるのが安全です。
  • 規制は変わることがあります。購入前に、その種類の最新の規制状況を販売店に確認し、不明点があれば自治体や環境省の情報を調べてください。

あわせて、購入時はWC個体(野生採集)よりもCB個体(飼育下繁殖)を選ぶことをおすすめします。環境に慣れていて立ち上げやすく、野生個体群への負荷も避けられます。どこで購入できるか、健康な個体をどう見分けるかはお迎えガイドで詳しく解説しています。

わが家の実例|トウブハコガメ・ミツユビハコガメの飼育と繁殖

わが家ではトウブハコガメとミツユビハコガメを飼育し、繁殖まで行っています。森林系のセオリーどおり、保湿性のある床材と浅い水場を用意し、複数飼育は飼育容器の記事で紹介している浅型容器やコンテナで管理しています。

実際に飼っていて感じるのは、ハコガメは「環境が合えば驚くほど手がかからず、合わないとじわじわ調子を崩す」カメだということです。だからこそ、種類選びの段階で自分の環境と種類のタイプを合わせておくことが、その後の飼育のしやすさをほぼ決めます。繁殖まで視野に入れる場合は繁殖の基礎も参考にしてください。

まとめ

ハコガメの種類選びは、名前やみため以前に「水辺系か森林系か」という環境タイプで考えるのが出発点です。水場中心ならマレーハコガメ、湿度のある陸場を作れるならミツユビハコガメやトウブハコガメ、セマルハコガメが代表的な候補になります。

そして、どの種類でも共通するのは「CB個体を正規ルートで」「購入前に法規制を確認」の2点です。種類が決まったら、用品一式まとめベビー育成環境で、迎える準備を整えていきましょう。

よくある質問

初心者に一番飼いやすいハコガメはどれですか?

流通が安定していて飼育情報も多い、マレーハコガメ(水辺系)やミツユビハコガメなどのCB個体(飼育下繁殖個体)が候補に挙がることが多いです。ただし「飼いやすさ」は用意できる環境に左右されるため、水場中心か森林系かを先に決めてから種類を選ぶと失敗しにくくなります。

ハコガメはリクガメですか?水ガメですか?

どちらとも違う「半地上性」が基本のグループです。種類によって水辺寄り(マレーハコガメなど)と森林寄り(アメリカハコガメ属など)があり、リクガメの乾燥環境ともミズガメの水槽飼育とも異なる、湿度のある陸場+浅い水場という環境づくりが基本になります。

野生のハコガメを拾って飼ってもいいですか?

日本の八重山諸島にすむヤエヤマセマルハコガメは国指定天然記念物で、捕獲・飼育はできません。ハコガメの仲間は種類や産地によって規制が異なるため、飼うときは正規ルートで流通しているCB個体を選び、購入前に最新の規制を確認してください。

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