道ばたや庭先で、思いがけずカメと出会ってしまうことがあります。特に初夏から夏にかけては、産卵や雨上がりの移動でカメが歩き回りやすく、「カメを拾った」「庭に迷い込んできた」という話が増える季節です。飼育ガメが脱走してきたケースも多く、ハコガメを飼っている方なら「逃げられた側」になる可能性もあります。
この記事では、カメを見つけた・保護したときの対応を、届け出先、飼い主の探し方、一時的なお世話、やってはいけないことの順に整理します。法律に関わる部分は一般的な情報のまとめであり、実際の手続きは警察や自治体の案内に従ってください。
結論
- カミツキガメなど危険なカメの可能性があるときは、触らずに警察や自治体へ連絡する
- 保護したら、まず警察に拾得物(落とし物)として届け出て、あわせて自治体の動物愛護センターにも相談する
- 飼い主探しと並行して、静かな場所と浅い水場で無理のない一時保護をする
- どんな事情があっても、川や公園に「放して逃がす」ことはしない
触る前に:危険なカメ・野生のカメではないか確認
まず落ち着いて、カメの種類をざっくり確認します。見た目で判断がつかないときは、無理に触らないのが基本です。
カミツキガメ・ワニガメの可能性があるとき
首が長く、甲羅の後ろ縁がギザギザした大型のカメは、カミツキガメやワニガメの可能性があります。咬む力が非常に強く、素手で扱うのは危険です。また、カミツキガメは特定外来生物に指定されており、許可なく運搬・飼育できないとされています。見つけた場所から動かさず、警察(110番ではなく最寄りの警察署・交番)や自治体の環境担当窓口に連絡してください。
クサガメ・ニホンイシガメなど日本の水辺のカメ
川や池の近くで見かけたクサガメやニホンイシガメは、野生の個体がたまたま移動しているだけの可能性があります。ケガや衰弱がなく、近くに水辺があるなら、そのまま見守って立ち去るのもひとつの選択肢です。道路上にいて危険な場合は、進行方向の側の安全な場所にそっと移す程度にとどめます。
アカミミガメ(ミドリガメ)のとき
耳のあたりに赤い模様があるアカミミガメは、2023年から「条件付特定外来生物」に指定されています。保護して飼い続けることは一般家庭でも可能とされていますが、野外に放すことは禁止されています。「拾ったけど飼えないから逃がす」ができない種類だと知っておくことが大切です。
ハコガメ・リクガメなど外国産のカメ
ハコガメやリクガメのような外国産のカメが屋外を歩いていることは、自然界ではまず考えられません。ほぼ確実に、どこかの家から脱走したか、遺棄された飼育個体です。放っておくと車や犬猫、夏の暑さや冬の寒さで命を落とすおそれが高いため、保護の対象として考えてあげたいところです。種類の見当をつけたいときはハコガメの種類と選び方も参考になるかもしれません。
保護したら:届け出と飼い主の探し方
飼育ガメらしいカメを保護したら、飼い主が探している可能性を第一に考えて動きます。
警察に拾得物として届け出る
ペットは法律上「落とし物(拾得物)」として扱われるため、最寄りの警察署や交番に届け出るのが基本です。飼い主が遺失届を出していれば、ここで連絡がつながります。届け出をしておくと、一定期間(3か月程度とされています)飼い主が現れなかった場合に、拾った人が正式に飼い主になれる道も開けます。
自治体の動物愛護センター・保健所にも連絡
飼い主が警察ではなく動物愛護センターや保健所に相談しているケースもあるため、両方に「カメを保護しています」と伝えておくと、つながる確率が上がります。
近所への声かけ・掲示・SNS
脱走ガメの飼い主は、意外なほど近所にいることが多いようです。カメの歩ける距離は限られているため、見つけた場所の周辺で聞いてまわったり、掲示板やご近所SNS、迷子ペットの掲示サイトに「カメを保護しました」と情報を出したりするのは有効です。その際、本当の飼い主かどうか確認できるよう、甲羅の傷や大きさなどの特徴は少し伏せておき、「特徴を言い当てられた方にお返しする」形にすると安心です。
一時保護のお世話:最低限でOK
飼い主探しのあいだのお世話は、頑張りすぎなくて大丈夫です。
- 脱走中のカメは脱水気味のことがあるため、甲羅の高さより浅い水場を用意する(顔が出る深さまで)
- フタのできる衣装ケースなどに入れ、直射日光の当たらない静かな場所に置く(夏の車内や日なたは短時間でも危険です)
- 餌は無理に与えなくても、健康な成体なら数日食べないことがすぐに問題になることは少ないとされています
- カメに触ったあとは必ず手を洗う(サルモネラ対策と衛生管理)
甲羅の割れや出血、目が開かない、ぐったりしているなど明らかな異常があるときは、爬虫類を診てくれる動物病院に相談してください。探し方は動物病院の探し方で解説しています。受診の際、マイクロチップの有無を確認してもらえる場合もあります。
やってはいけないこと
川や公園に「放して逃がす」
「自然に帰してあげよう」という気持ちからでも、飼育されていたカメを野外に放すのは避けてください。飼育個体は野外で生きていけないことが多いうえ、ペットを捨てる行為は動物愛護管理法の「遺棄」として罰則の対象になり得るとされています。アカミミガメのように、放出そのものが法律で禁止されている種類もあります。外国産のカメが野外で定着すれば、生態系への影響も心配されます。
すぐに自分のものとして譲渡・販売する
保護した直後のカメは、まだ「飼い主が探しているかもしれない誰かのペット」です。警察への届け出をせずにSNSで譲渡先を決めてしまうようなことは避け、まず飼い主探しの手続きを踏むのが筋道です。
飼い主が見つからなかったら
届け出から一定期間が過ぎて飼い主が現れなければ、自分で飼うか、新しい飼い主を探すかを考えることになります。飼う場合は、カメの種類に合わせた環境づくりが必要です。ハコガメであれば最初に必要な用品一覧から準備を始められます。自分では飼えない場合の譲渡先の探し方は、飼えなくなったときの対応の記事で紹介している考え方がそのまま参考になります。
「逃がした側」にならないために
ハコガメは見た目によらず力が強く、脱走の名人です。保護されるカメの多くは、どこかの家の「うちの子」でした。屋外飼育やベランダ飼育の脱走対策は屋外飼育・ベランダ飼育ガイドで詳しくまとめているので、飼育中の方はあわせて点検してみてください。
まとめ
カメを見つけたら、まず種類を確認し、危険なカメなら触らずに連絡、飼育ガメらしければ警察への拾得物の届け出と自治体への連絡が基本です。飼い主探しのあいだは、浅い水場と静かな場所での無理のない一時保護で十分です。そして、どんな事情があっても野外に放すことだけは避けてください。一匹のカメの命と、地域の自然の両方を守ることにつながります。
よくある質問
カメを拾ったらどこに連絡すればいい?
飼育ガメらしいカメは、最寄りの警察署・交番に拾得物として届け出るのが基本です。あわせて自治体の動物愛護センターや保健所にも保護している旨を伝えておくと、飼い主とつながりやすくなります。
拾ったカメを飼ってもいい?
警察に届け出て一定期間(3か月程度とされています)飼い主が現れなければ、拾った人が飼い主になれる道があります。ただしアカミミガメなど法律上の扱いに注意が必要な種類もあるため、種類の確認と自治体への相談をおすすめします。
拾ったカメを逃がしてもいい?
飼育されていたカメを野外に放すのは避けてください。遺棄として罰則の対象になり得るほか、アカミミガメのように放出自体が禁止されている種類もあります。飼えない場合は警察・自治体への相談や里親探しを検討してください。
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