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ハコガメは野生下で昆虫やミミズ、貝類などの動物質から、木の実や果実、若葉といった植物質まで幅広く口にする雑食性の生きものです。そのため飼育下でも、特定のエサだけに偏らせず、いろいろな栄養をバランスよく摂らせてあげたいところです。
そこで土台になるのが、栄養設計された人工飼料(配合飼料)です。人工飼料は一粒のなかにタンパク質・カルシウム・ビタミンなどがまとめて配合されており、毎日の食事のベースとして扱いやすいのが魅力です。とはいえ「人工飼料を置いておけば完璧」というわけではなく、生餌や野菜と上手に組み合わせてこそ力を発揮します。
この記事では、ハコガメに向けた人工飼料の選び方の軸と、与え方・ふやかし方、ほかの食材との組み合わせ方までを整理してご紹介します。
結論
人工飼料は、毎日の食事の「主食」として使いつつ、生餌・野菜・果実を添える形が無理のない基本とされています。選ぶときは、栄養バランス・嗜好性(食いつき)・粒のサイズの3点を見ると失敗しにくくなります。半水棲のハコガメには沈下性の配合飼料が扱いやすく、雑食性のカメ向けに設計されたキョーリンの「カメプロス」などが候補に挙げられます。ただし人工飼料だけに頼り切らず、ほかの食材を組み合わせることが、長い目で見た健康につながると考えられています。
※わが家で実際に使っている餌は記事の後半で紹介しています。
人工飼料を選ぶときの軸
店頭やネットには多くの配合飼料が並びますが、次の3つを基準にすると選びやすくなります。
1. 栄養バランス
カメの体づくりにはタンパク質に加え、甲羅や骨格を支えるカルシウムが欠かせないとされています。総合栄養食をうたう製品は、こうした栄養素が長期の飼育試験をもとに調整されているものが多く、毎日の主食として扱いやすい傾向があります。パッケージの表示で、カルシウムやビタミン類への配慮がうたわれているかを確認すると安心です。人工飼料だけでは不足しがちと感じる場合の補い方はカルシウム補助の基本もあわせて参考にしてみてください。
2. 嗜好性(食いつき)
どんなに栄養が優れていても、食べてくれなければ意味がありません。シジミなどカメが好む素材のエキスを配合し、嗜好性を高めた製品もあります。先述のカメプロスは、シジミエキスを加えて食いつきに配慮しているとされ、こうした工夫は導入時のハードルを下げてくれます。
3. 粒のサイズ
口の大きさに合わない粒は、食べづらかったり丸飲みの負担になったりします。幼体には小さめの粒、成体には大きめのスティックタイプというように、甲長や成長段階に合わせて選ぶのがおすすめです。多くの製品が対象サイズの目安を表示しているので、参考にするとよいでしょう。
なお、半水棲で水中採餌をするハコガメには、水に沈むタイプ(沈下性)が向いているとされます。水を汚しにくくする工夫として、ひかり菌や茶葉の働きでニオイや濁りを抑えると説明される製品もあり、水質管理の面でも助けになります。
与え方とふやかし方
人工飼料は乾燥して固いものが多いため、与え方に少し工夫を加えると食べやすくなります。
まずふやかし方です。乾いたままでも食べられますが、水で数分ふやかして軽くやわらかくすると、口当たりがよくなり、消化の負担もやわらぐと考えられています。ふやかしすぎると崩れて水を汚しやすくなるので、芯がほんのり残る程度を目安にすると扱いやすいです。陸地で食べる個体には、ふやかしたものを浅い皿に乗せて与える方法もあります。
量と頻度は、成長期の幼体ほど多め・高頻度に、成体になったら控えめにするのが一般的とされています。目安として「数分で食べきれる量」を基準にし、食べ残しが続くようなら減らすと、与えすぎや水質悪化を防ぎやすくなります。食べ残しは早めに取り除き、水を清潔に保ちましょう。成長段階ごとの目安は給餌頻度の基本でもくわしく整理しています。
幼体期は環境づくりと給餌の両方が体調を左右しやすい時期です。温度や水場の整え方についてはベビー育成環境のページもあわせて確認しておくと安心です。
夏場の餌管理で気をつけたいこと
気温の高い季節は、餌そのものの管理にも少し気を配りたい時期です。ふやかした人工飼料や食べ残しは、高温下では傷むのが早く、水中に残ったままだと水質悪化やにおいの原因にもなりやすくなります。夏場は「数分で食べきれる量」をより強く意識し、食べ残しはいつもの季節より早めに取り除くと安心です。あわせて水換えの頻度も上げると、ケージ内を清潔に保ちやすくなります。暑い時期の環境管理全般は夏場の暑さ対策でまとめています。
フードの保管も夏は見直したいポイントです。開封後の人工飼料は、高温多湿の環境では湿気を吸ったり油分の酸化が進んだりしやすいとされ、風味が落ちると食いつきの低下につながることもあります。開封後は袋の空気を抜いてしっかり閉じるか密閉容器に移し、直射日光の当たらない涼しい場所で保管しましょう。使い切るまでに時間がかかる場合は、大袋よりも小さめのサイズをこまめに買い足すほうが鮮度を保ちやすくなります。
食欲の変化にも幅が出やすい時期です。適温の範囲では活動量が上がって食べる量が増える個体がいる一方、猛暑でケージ内の温度が上がりすぎると、かえって食欲が落ちることもあります。食いが渋いと感じたら、比較的涼しい朝や夕方の時間帯に与えてみるのもひとつの方法です。食欲不振が続く場合や元気のなさをともなう場合は、餌を食べないときの対処も参考にしてください。
生餌・野菜・果物との組み合わせ
人工飼料を主食にしつつ、雑食性のハコガメには動物質・植物質の両方を添えてあげると、メニューに変化が生まれ、食の偏りも防ぎやすくなります。それぞれの餌の特徴を、ざっくり次の表で見比べてみてください。
| 餌のタイプ | 栄養バランス | 嗜好性 | 保存性 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| 配合飼料(人工飼料) | 総合栄養食タイプなら整いやすい | 製品差あり(シジミエキス配合などで配慮) | 高い(乾燥・常温で長期保存しやすい) | 毎日の主食(ベース) |
| 生き餌(昆虫・ミミズ等) | タンパク質が中心。単独では偏りやすい | 高め(動きが採餌行動を引き出しやすい) | 低い(活餌は管理が必要) | 食いつき向上・変化づけの副菜 |
| 乾燥餌 | 製品により偏りが出やすい | 中程度(ふやかすと食べやすい) | 高い(常温で扱いやすい) | 手軽な副菜・おやつ |
| 野菜・果物(補助) | 植物質を補える。果物は糖分多め | 個体差あり(果物は好む傾向) | 低い(生鮮のため早めに使い切る) | 植物質の補助・ときどきのごほうび |
生餌(動物質)としては、ミミズや昆虫(コオロギなど)が代表的です。よく動く生餌は本来の採餌行動を引き出しやすく、食いつきもよい傾向があります。野菜・果物(植物質)では、小松菜などの葉物野菜や、少量の果実が選択肢になります。果物は嗜好性が高い反面、糖分が多いため与えすぎには注意し、あくまで「ときどきのごほうび」程度にとどめるのがよいとされています。食材ごとの与え方や避けたい食べもののより詳しい一覧は餌の種類まとめで解説しています。
組み合わせの一例としては、ふだんは人工飼料を中心に、数日おきに生餌や野菜を添える形が無理がありません。いろいろな食材に慣れさせておくと、後述する「食べないとき」の選択肢も広がります。
人工飼料だけに頼らない理由
人工飼料は便利で栄養バランスにもすぐれますが、それだけで一生をまかなおうとするのは避けたほうがよいと考えられています。理由はいくつかあります。
ひとつは、雑食性のハコガメにとって食の多様性そのものが自然に近い形だという点です。さまざまな食材を口にすることで、特定の栄養素への偏りを補いやすくなります。もうひとつは、同じエサに飽きて食べなくなることがある点です。複数の食材に慣れていれば、一つを食べなくなっても別の選択肢で食欲を保ちやすくなります。
もちろん主食として人工飼料に頼ること自体は問題ありません。あくまで「人工飼料+α」を基本姿勢にしておく、というイメージです。
ドッグフード・キャットフードは与えてもいい?
雑食のカメの餌としてよく話題になるのが、「ふやかしたドッグフードを与えてもいいのか」という疑問です。実際、長年ハコガメを飼育している方の中には、水でふやかしたドッグフードを餌の一部として取り入れている実践例も知られており、海外の飼育情報でもたびたび取り上げられる定番のテーマです。
ただし、注意しておきたい点があります。犬や猫用のフードはあくまで哺乳類向けに設計されたもので、カメにとっては脂肪分やリンが多くなりやすいと指摘されています。リンが多い食事はカルシウムとのバランスを崩しやすく、甲羅や骨の健康にも関わるとされるため、ドッグフードを「主食」に据えるのは一般的にはすすめられていません(カルシウムとリンのバランスについてはカルシウム補助の基本で解説しています)。海外の獣医系の情報でも、使うとしても低脂肪のものを少量・ときどきにとどめる、という扱いが多いようです。
結論としては、初心者のうちはカメ用の配合飼料を主食にするのが安心です。ドッグフードは「飼育経験の長い人が、屋外飼育や自然の餌との併用など条件を整えたうえで補助的に使う例もある」くらいに捉えておき、もし試す場合もごく少量から、体調や糞の様子を見ながら慎重に判断してください。代用の可否や栄養面の注意点は、ドッグフード・キャットフードは与えていい?の記事で詳しく整理しています。
食べないときの工夫
導入直後や環境の変化があったときなどに、人工飼料を食べてくれないことがあります。そんなときは次のような工夫を試してみてください。
- 好物と一緒に出す:ミミズや昆虫など好きな生餌のそばに置き、ついでに食べてもらう作戦です。
- 温度を見直す:体温が低いと消化機能が働きにくく、食欲も落ちると考えられています。適温が保たれているか確認しましょう。
- 静かな環境にする:落ち着かない環境では食べないこともあるため、給餌後はそっとしておくとよい場合があります。
- 季節のリズムも考える:ハコガメの食欲は一年を通して一定ではなく、冬眠明けの春は少しずつ食が戻り、真夏や秋口には波が出やすいとされています。長期飼育者の間でも、季節に応じて給餌回数を段階的に増減させる管理が広く行われているようです。秋以降に動きが鈍って食が細る場合は、冬眠モードに入りかけている可能性もあります(動かない・元気がないときの見分け方も参考にしてください)。
一時的に食べないだけなら様子を見て構いませんが、食欲不振が長く続いたり、ぐったりしているなど気になる様子があれば、爬虫類を診られる動物病院に相談することをおすすめします。
わが家で実際に使っている餌
参考までに、当サイトの運営者がハコガメの飼育・繁殖で実際に使っている餌を紹介します。栄養の偏りと飽きを防ぐため、1種類に固定せず主食4種類をローテーションで与えるのが基本スタイルです。
主食(ローテーションで使用)
ベースはカメ用の配合飼料2種(カメプロス プレミアムとレプトミンスーパー)。ここに、錦鯉用の育成飼料である咲ひかりR(高タンパクで粒がしっかりしており、カメ飼育でも定番の転用です)と、肉食性爬虫類用のセラ レプタイルプロを加えて回しています。
咲ひかりRは15kg袋で取り寄せ、米保存用の真空保存袋に小分けして常温保管しています。大袋は圧倒的にコスパが良い反面、開封後の酸化が進みやすいので、小分け保存とセットで考えるのがおすすめです。
このほか、RepFeedJapanのタートルフィードとレプフィード(昆虫食爬虫類用)も常備し、個体の好みや状態に合わせてローテーションに組み込んでいます。
おやつ
おやつには乾燥させた天然の手長エビを少量与えています。市販では下記のような乾燥エビのおやつが入手しやすいです。嗜好性が高いぶん、あくまで補助と割り切って与えすぎに注意しています。
食いが渋い個体への切り札
餌食いが落ちた個体や偏食気味の個体には、うずらのミンチや冷凍ピンクマウスを少量使うことがあります。動物質で嗜好性が非常に高く、食欲のきっかけ作りには有効ですが、常用すると栄養が偏るため、あくまで立て直し用と考えています。食べない状態が続く場合は、環境の見直しと動物病院への相談を優先してください(餌を食べないときの対処も参考に)。
まとめ
ハコガメの人工飼料は、栄養バランス・嗜好性・粒のサイズの3点を軸に選ぶと、毎日の主食として扱いやすくなります。半水棲のハコガメには沈下性タイプが向いており、雑食性のカメ向けに設計されたカメプロスのような製品が候補になります。
大切なのは、人工飼料だけに頼り切らず、生餌や野菜・果物を組み合わせてメニューに幅をもたせることです。ふやかし方や量を調整しながら、その子に合った食事のリズムを見つけてあげてください。食の多様性が、ハコガメの健やかな毎日を支えてくれるはずです。
よくある質問
ハコガメには何を与えればいいですか?
雑食性の種類が多く、専用の配合飼料を基本に、種類に応じて動物質(昆虫など)や植物質(野菜・果物)を組み合わせるのが一般的です。栄養が偏らないよう複数を使い分けます。
人工飼料だけで飼育できますか?
栄養バランスを考えて作られた配合飼料は主食に向きますが、嗜好性や栄養の幅を考え、生き餌や野菜を補助的に加える飼い方も一般的です。種類の食性に合わせて調整します。
餌を食べないときはフードを変えるべき?
まず温度・湿度など環境を見直すのが先決です。環境が合っていれば嗜好性の高い餌を試す手もありますが、食べない状態が続く場合は動物病院に相談してください。
ハコガメにドッグフードを与えてもいいですか?
ふやかした低脂肪のものを少量・ときどき取り入れる実践例はありますが、脂肪やリンが多く主食には向かないとされています。基本はカメ用の配合飼料を主食にするのが安心です。
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