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ハコガメの甲羅や骨格づくりに欠かせない栄養素といえば、まず思い浮かぶのがカルシウムです。丈夫な甲羅を保つにはしっかり摂らせてあげたいところですが、じつは「与えればそれでよい」という単純な話ではありません。リンとのバランスや、ビタミンD3・紫外線(UVB)との関係まで含めて考える必要があります。
飼育下のカメは、屋外で自由に日光を浴びる野生個体とは環境が大きく異なります。カルシウムの補給と紫外線の管理をセットで意識してあげることが、長い目で見た健康につながると考えられています。この記事では、カルシウム剤やカトルボーンの使い方、紫外線とD3の関係、与え方の目安、気をつけたいサインを整理してご紹介します。
結論
ハコガメのカルシウム補助は、「リンを含まないカルシウム剤を主軸にしつつ、紫外線(UVB)を浴びられる環境を整える」のが基本になります。カルシウムはビタミンD3の助けで体に取り込まれやすくなり、そのD3はおもに紫外線を浴びることで体内でつくられるためです。カルシウム剤はリンの有無・D3の有無で使い分け、与えすぎ・足りなさの両方に気を配って調整しましょう。
なお、カルシウムが長く不足するとくる病(代謝性骨疾患)などのリスクがあるとされています。甲羅の変形や手足の弱りなど気になる様子があれば、早めに爬虫類を診られる動物病院へ相談しましょう。
なぜカルシウムが大切か
カルシウムは、カメの甲羅や骨格を形づくる土台となるミネラルです。とくに成長期の幼体は必要量が多いとされ、成体でも甲羅や骨の状態を保つために日々の補給は欠かせません。卵を産むメスでは卵殻の形成にも使われ、需要がさらに高まると考えられています。
ここで意識したいのが、カルシウムとリンのバランスです。リンも必要なミネラルですが、多すぎるとカルシウムの吸収が妨げられやすくなるとされ、一般に爬虫類では食事全体でカルシウムとリンの比率がおよそ2対1程度になるのが望ましいと説明されることが多いです。ところが昆虫などの生餌は、そのままだとリンが多めでカルシウムが不足しがちだといわれます。この偏りを補う手段のひとつが、カルシウム剤やカトルボーンです。
カルシウムとビタミンD3・紫外線の関係
カルシウムを語るうえで切り離せないのが、ビタミンD3と紫外線(UVB)の関係です。どれだけカルシウムを与えても、体に取り込むしくみが働かなければ十分に活かされにくいと考えられています。そのカギを握るのがD3で、腸からのカルシウム吸収を助けるとされ、おもに皮膚が紫外線(とくにUVB)を浴びることで体内でつくられます。つまり「紫外線を浴びる → 体内でD3がつくられる → カルシウムが取り込まれやすくなる」という流れです。
野生のハコガメは屋外で日光浴をしながら、このしくみを自然にまかなっています。一方、室内飼育では十分な紫外線が届きにくいため、専用のUVBライトで補うのが一般的です。紫外線が足りないとD3がつくられにくく、せっかくのカルシウムも活かしきれない場合があると考えられています。ライト選びの考え方は紫外線ライトの選び方のページで整理していますので、あわせて確認してみてください。
カルシウム剤の種類(リンの有無・D3の有無)
爬虫類用のカルシウム剤は、エサに振りかける粉末タイプが一般的です。選ぶ際に押さえたいのが、「リンが入っているか」と「ビタミンD3が入っているか」の2点です。
1. リンの有無
補助の目的は、不足しがちなカルシウムを足してリンとのバランスを整えることです。そのため、追加でリンを含まない「リンフリー(リン無添加)」を選ぶのが基本です。パッケージの「リン酸不使用」「phosphorus-free」などの表示が目安になります。
2. ビタミンD3の有無
D3入りは吸収を助ける働きが期待される一方、紫外線からつくられるD3と重なって過剰になりすぎないよう配慮が必要だと考えられています。一般には紫外線環境がある場合はD3なしを主体にし、D3入りは補助的にときどき使うという考え方が紹介されることが多いです。迷ったときは「リンフリーでD3なし」を基本に置き、不安があれば購入店や獣医に相談すると安心です。
わが家では、粉のカルシウムはスペフーとポゴナ・クラブのもの(いずれも爬虫類専門店やイベントでの入手が中心です)を使い分け、ビタミン類は飲み水や餌に添加できるテトラ レプチゾルで補っています。通販で入手しやすい定番としては、上のレプティカルシウム系が同じ役割です。
カトルボーンの使い方
カルシウム剤と並んでよく使われるのが、カトルボーン(イカの甲)です。もともとは小鳥用ですが、カルシウムを多く含むことからカメの飼育でも取り入れられています。利点は、ケージ内に置いておくことでカメが自分のタイミングでかじって摂れる点にあります。粉末のカルシウム剤が「飼い主が与える」補給だとすれば、カトルボーンは「カメが自由に利用できる」カルシウム源というイメージです。
使い方としては、表面の硬い背側を取り除き、やわらかい部分を割ってケージ内に置くのが一般的で、削って粉状にしエサへ振りかける方法もあります。汚れたら早めに交換しましょう。ただし、置いても必ずかじるとは限りません。「選択肢として用意しておく」ものと捉え、粉末のカルシウム剤と組み合わせて考えるとよいでしょう。
与え方と頻度の目安
カルシウム剤の与え方としてよく紹介されるのが、エサに軽く振りかける「ダスティング」です。ふやかした人工飼料や生餌、野菜などに薄くまぶしてから与えると、自然な形でカルシウムを足せます。生餌なら、容器に入れて軽く振り、粉をまとわせてから与えるやり方も知られています。
頻度の目安としては、成長期の幼体はこまめに、成体は控えめにというのが一般的です。とくにベビー期は骨や甲羅づくりにカルシウムが多く使われる時期のため、環境全体の整え方はベビー育成環境の記事もあわせて参考にしてみてください。よく紹介される一例が、ふだんはD3なしのカルシウムを給餌のたびに薄くまぶし、D3入りは週に1〜2回程度に絞る使い分けです。ただしこれは一例で、その子の年齢・種類・紫外線環境によって適した頻度は変わります。餌そのものの回数や量の考え方は給餌頻度の基本で整理しているので、あわせて調整の参考にしてみてください。
気をつけたいのは、「多ければよい」というわけではない点です。とくにD3は過剰になりすぎないよう配慮が必要だと考えられているため、たっぷりかけるより薄く・適度にを心がけましょう。なお、毎日のベースとなる人工飼料にもカルシウムへ配慮した製品があります。主食の選び方は人工飼料の選び方のページも参考にしてみてください。
産卵期のメス・夏場の補給で意識したいこと
春から夏にかけては、成熟したメスが体内で卵をつくる時期にあたります。卵殻の形成には多くのカルシウムが使われるとされ、この時期のメスはふだんより需要が高まると考えられています。産卵の可能性がある個体では、カトルボーンを常設していつでも自分で摂れるようにしておく、ダスティングの頻度を様子を見ながら少し上げる、といった配慮がよく紹介されます。繁殖や産卵前後の管理の全体像は繁殖の基礎知識もあわせて参考にしてください。
また、夏場にベランダや庭での日光浴を取り入れている場合は、紫外線から体内でD3がつくられやすい環境になるため、D3入りサプリの出番は相対的に減ると考えられます。屋外の時間が長い時期はD3なしを軸にする、室内中心の時期はUVBライトの状態もあわせて見直す、というように、季節の過ごし方とセットで補給のバランスを調整すると考えやすくなります。なお、長期飼育者の中にはゆでて乾かした卵の殻を細かくくだいて補助的なカルシウム源にする例もあるようですが、量の加減が難しいため、基本は市販のリンフリーのカルシウム剤を軸に考えるのが分かりやすいでしょう。
気になる変化があれば専門家へ
カルシウムやビタミンD3の管理がうまくいかない状態が続くと、甲羅や骨格に影響が出ることがあるとされています。代表的なものとして、長期的なカルシウム不足やビタミンD3不足は、くる病(代謝性骨疾患)などのリスクがあるとされています。これは骨や甲羅がうまく形づくれなくなる状態の総称です。飼い主が気づきやすい変化としては、次のような様子が挙げられます。
- 甲羅がやわらかく感じる、でこぼこ・変形が目立ってきた
- 手足に力が入りにくそう、歩き方がぎこちない
- あごや口まわりの形が変わってきたように見える
- 食欲や元気がなく、ぐったりしている
ただし、これらはカルシウム以外の要因で起こることもあり、見た目だけで原因を判断するのは難しいものです。甲羅がやわらかい・白っぽいと感じたときの見直しポイントは、甲羅が白い・やわらかいときの記事でも詳しく取り上げています。ここで紹介した内容は一般的な情報であり、診断や治療を目的とするものではありません。気になる変化が見られたときは、自己判断で対処しようとせず、爬虫類を診られる動物病院に相談することをおすすめします。早めに専門家の目で見てもらうことが、その子にとっていちばん安心できる選択につながります。
まとめ
ハコガメのカルシウム補助は、リンを含まないカルシウム剤を基本に置き、紫外線(UVB)を浴びられる環境を整えることがベースになります。カルシウムはビタミンD3の助けで取り込まれやすくなり、そのD3はおもに紫外線からつくられるため、サプリと照明はセットで考えるのが大切です。カトルボーンは自由にかじれる補助的なカルシウム源として用意しておくとよいでしょう。
与えるときは「薄く・適度に」を心がけ、年齢や紫外線環境に合わせて頻度を調整します。そして、甲羅の変形や手足の弱りなど気になる変化があれば、早めに獣医へ相談してください。日々のちょっとした気配りの積み重ねが、ハコガメの健やかな毎日を支えてくれるはずです。
よくある質問
ハコガメにカルシウムの補給は必要ですか?
甲羅や骨の健康に関わるとされ、餌だけでは不足しがちなため、カルシウム剤を餌にふりかけるなどの補給が一般的です。紫外線(UVB)とあわせて考えるのが基本です。
カルシウム剤はどのくらいの頻度で与える?
製品や個体の状態によりますが、与えすぎも偏りにつながるため、頻度の目安は製品表示を確認します。成長期はやや多め、といった調整をすることがあります。
カルシウムとビタミンD3入り、どちらを選ぶ?
UVBライトを十分に当てている場合はD3なし、紫外線が不足しがちな環境ではD3入りを選ぶ、という使い分けが一般的です。過剰摂取を避けるため環境に合わせて選びます。
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