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ハコガメは雑食性のカメで、自然下では昆虫やミミズ、野草、キノコ、落ちた果実など、実にいろいろなものを食べているとされています。飼育下でも人工飼料だけに頼らず、野菜や昆虫、果物をうまく組み合わせることで、食の変化を楽しみながら栄養の偏りを減らしやすくなります。
この記事では、ハコガメに与えられる餌を「動物性」「野菜・野草」「果物」に分けて整理し、それぞれの与え方のコツと、避けた方がよいとされる食材までまとめていきます。人工飼料そのものの選び方は人工飼料の選び方の記事で詳しく扱っているので、この記事では自然の食材を中心に見ていきます。
結論
結論から言うと、「人工飼料をベースに、野菜と動物性の餌を日替わりで組み合わせる」のが管理しやすいバランスです。
- ベース:栄養バランスが設計された人工飼料(配合飼料)
- プラスα:小松菜・チンゲン菜などの葉物野菜、コオロギやミルワームなどの動物性
- おやつ:果物は嗜好性が高いぶん糖分も多いので、ごく少量にとどめる
単一の餌に偏らせず、いろいろな食材を経験させておくと、餌の切り替えや拒食時の立て直しもしやすくなります。
ハコガメは雑食性|偏らせないことが基本
ハコガメの仲間は、リクガメのような草食寄りでも、水棲ガメのような肉食寄りでもなく、その中間の雑食性です。特に幼体のうちは動物性への食いつきが強く、成長するにつれて植物質も食べるようになる、という傾向がよく知られています。
飼育下で問題になりやすいのは、「好きなものばかり与えてしまう」ことです。ハコガメは味の好みがはっきりしている個体が多く、嗜好性の高い餌(ミルワームや果物など)を続けると、それしか食べなくなってしまうことがあります。
- ベースになる餌(人工飼料)を決めて、そこに変化をつける
- 嗜好性の高い餌は「ごほうび」の位置づけにする
- 幼体期からいろいろな食材に慣らしておく
この3点を意識するだけでも、偏食のリスクはかなり下げやすくなります。
動物性の餌|昆虫・ミミズ・乾燥エビなど
ハコガメは陸棲傾向の強いカメの中でも昆虫食性が強めとされており、動物性の餌への反応はとてもよいです。代表的なものを挙げます。
コオロギ・デュビアなどの活き餌
栄養バランスがよく、動く餌への反応を引き出せるのが強みです。食が細い個体や環境に慣れていない個体でも、動く昆虫には反応することがよくあります。与える前にカルシウムパウダーをまぶす「ダスティング」をすると、カルシウム補給も兼ねられます。
ミルワーム・ハニーワーム
入手しやすく食いつきも抜群ですが、脂肪分が多めとされるため、主食ではなくおやつ的な位置づけが無難です。ミルワームばかり欲しがるようになる個体もいるので、与える頻度は控えめにします。
ミミズ
自然下のハコガメがよく食べている餌のひとつで、嗜好性は高めです。ただし野外で採取したものは農薬や寄生虫のリスクが否定できないため、与えるなら餌用として販売されているものが安心です。同様の理由で、野外のナメクジやカタツムリを与えるのは避けた方がよいとされています。とくにナメクジやカタツムリは、人にも重い症状を起こしうる「広東住血線虫」という寄生虫を持っている場合があると報告されています。カメに与えないのはもちろん、ケージ周りで見つけて取り除くときも素手では触らず、触れてしまったらよく手を洗うようにすると安心です。
乾燥エビ・乾燥コオロギ
保存がきき、扱いやすいのが利点です。ただし乾燥餌だけに偏ると水分や栄養のバランスが崩れやすいので、あくまで組み合わせのひとつとして使います。
なお、やわらかい餌ばかりが続くと、くちばしが磨り減る機会が減って伸びすぎの一因になるという指摘もあります。殻のある昆虫や乾燥餌など、ある程度かみごたえのある餌を織り交ぜることは、くちばしの自然なすり減りにも役立つと考えられています。すでに伸びすぎが気になる場合は爪・くちばしのお手入れの記事も参考にしてみてください。
野菜・野草|毎日の食事に取り入れやすい
植物質は、葉物野菜を中心に選ぶと管理しやすいです。よく使われるのは次のような食材です。
- 小松菜:カルシウムが比較的多く、通年入手しやすい定番
- チンゲン菜:クセが少なく食べやすい葉物
- モロヘイヤ:栄養価が高いとされる夏場の選択肢
- カボチャ・ニンジン:細かく刻むか薄切りにして少量。彩りと変化づけに
- トマト:嗜好性が高いので少量をたまに
野草では、タンポポやオオバコ、クローバーなどが利用されることがあります。ただし採取する場合は、除草剤や排気ガスの影響を受けにくい場所を選ぶ配慮が必要です。判断がつかない場所の野草は使わない方が無難です。食べられる野草の種類や、庭やケージ周りで注意したい有毒植物については、食べられる野草・危険な有毒植物のまとめで詳しく整理しています。
葉物野菜は比較的毎日与えやすい食材ですが、ほうれん草はシュウ酸が多く、カルシウムの吸収を妨げるとされているため、常用は避けた方がよいと言われています。
果物はおやつ程度に
バナナ・イチゴ・リンゴ・メロンなどの果物は、ハコガメの多くが大好きな食材です。自然下でも落ちた果実を食べることが知られており、食いつきという意味では最強クラスです。
ただし果物は糖分が多く、続けて与えると果物しか食べなくなる偏食につながりやすい食材でもあります。
- 頻度は週1回程度まで、量もひとかけら程度にとどめる
- 「薬を飲ませたいとき」「食欲が落ちた個体の呼び水」など、ここぞという場面にとっておく
- 柑橘類は酸味が強く好みが分かれるので、無理に与えない
果物は「ごほうび」と割り切って使うと、嗜好性の高さを味方につけられます。
避けたい・注意したい食材
人間の食べ物の中には、カメに与えない方がよいとされるものがあります。代表的なものを挙げておきます。
- ネギ類(ネギ・タマネギ・ニラ・ニンニク):多くの動物で中毒の原因になるとされ、避けるのが基本です
- アボカド:動物への毒性が指摘されている食材です
- 味付けされた人間の食事・お菓子・パン:塩分や糖分、油分が過剰になりやすい
- 牛乳などの乳製品:爬虫類は消化に向かないとされています
- 野外採取のナメクジ・カタツムリ:人にも感染しうる広東住血線虫などの寄生虫のリスクが指摘されています。素手で触るのも避けたい食材です
また、長年の飼育者の中には、ふやかしたドッグフードを餌として活用してきた実践例もあります。動物性たんぱく質が中心で嗜好性も高い一方、犬用に設計されたものなので、取り入れる場合でも爬虫類用の配合飼料をベースにしたうえでの選択肢のひとつ、と考えておくのが無難です。代用の可否や栄養面の注意点はドッグフード・キャットフードは与えていい?の記事で詳しく整理しています。
組み合わせ方の実例
実際の献立は、難しく考える必要はありません。たとえば次のようなローテーションのイメージです。
- 1回目:人工飼料+小松菜
- 2回目:コオロギ(カルシウムパウダーをまぶす)+チンゲン菜
- 3回目:人工飼料+カボチャ少量
- ときどき:果物をひとかけら、ミルワームを数匹
ポイントは、人工飼料を軸にしつつ、動物性と植物性を日替わりで足していくことです。給餌の回数そのものは成長段階や季節で変わるので、給餌頻度の基本とあわせて調整してください。
軸になる人工飼料には、当サイトでも使っているカメプロスのような配合飼料が扱いやすいです。
また、カルシウムと紫外線はセットで考える必要があります。せっかくカルシウムを与えても、紫外線(ビタミンD3)が不足していると吸収されにくいとされているためです。詳しくはカルシウム補助の基本で整理しています。カルシウム不足の状態が長く続くと、甲羅や骨が柔らかくなる代謝性骨疾患(MBD)につながるおそれもあるとされているため、餌のバリエーションと紫外線環境はセットで整えてあげてください。
夏場の給餌で気をつけたいこと
気温と湿度が高い夏は、餌そのものの管理にも少し気を配りたい季節です。室温が30℃近くまで上がる日は、食べ残しが傷むスピードも一気に上がります。
- 食べ残しは数時間を目安に回収する:野菜や人工飼料も、高温多湿の環境では半日ほどで傷んだり、コバエの発生源になったりしやすくなります
- 与える時間帯を朝や夕方にずらす:涼しい時間帯の方が食欲が出やすい個体が多く、餌が傷む前に食べきりやすくなります
- 果物や生の葉物は特に早めに回収する:水分と糖分が多いぶん傷みやすく、においや虫の原因になりがちです
- 水入れの水はこまめに交換する:夏は水が悪くなりやすいうえ、飲水量も増える時期です
暑さそのものへの対策(ケージ内の温度・蒸れ・脱水の防ぎ方)は夏場の暑さ対策の記事で、掃除や水換えの具体的な手順はケージ掃除と水換えの頻度の記事でまとめています。
秋〜冬の給餌で気をつけたいこと
秋が深まって気温や日照時間が下がってくると、夏に比べて食欲が落ちてくる個体が多くなります。これは季節に合わせた自然な変化であることが多いのですが、この時期の給餌は「冬眠させるか、保温して冬も活動させるか」で考え方が分かれます。方針がまだ決まっていない場合は、先に秋の飼育管理で全体像を確認しておくのがおすすめです。
なお当サイトでは、冬眠は繁殖を狙う健康なアダルトに限って行い、ベビー〜ヤングは冬眠させずに保温して冬も活動させる方針です。マレーハコガメなど熱帯産のアジア系は冬眠できないため、通年の加温が前提になります。
- 冬眠を予定している場合:おなかに食べ物が残ったまま冬眠に入ると、消化しきれずに体調を崩す原因になるとされています。冬眠前の数週間は給餌を段階的に減らして止める調整が一般的です
- 保温して冬も活動させる場合:ケージ内の温度が十分に保てていれば、冬でも食欲は維持されやすいとされています。食いが落ちてきたら、まず冬の温度管理を見直したうえで、日中の暖かい時間帯に与える、嗜好性の高い餌を少量混ぜるといった工夫を試してみてください
- 中途半端な温度がいちばん負担になりやすい:冬眠するには暖かく、活動するには寒い、という状態が続くと、食べたものをうまく消化できないことがあると言われます。保温するなら十分に、冬眠させるなら計画的に、と方針をはっきりさせておくと安心です
また、秋は冬に向けて体力をつけておきたい時期でもあります。食欲があるうちにいろいろな食材をバランスよく食べてもらっておくと、冬に食が細くなる時期や冬眠への備えがしやすくなります。
まとめ
ハコガメの餌は、種類の多さがそのまま楽しさにつながる部分です。最後に要点を整理します。
- ハコガメは雑食性。人工飼料をベースに、動物性と植物性を組み合わせる
- 昆虫やミミズは反応がよいが、脂肪の多いものはおやつ扱いに
- 葉物野菜は小松菜・チンゲン菜が定番。ほうれん草の常用は避ける
- 果物は大好物だが糖分が多いので、週1回・少量のごほうびに
- ネギ類・アボカド・味付きの人間の食事などは与えない
- 夏場は食べ残しの回収と水入れの水換えをこまめに行う
いろいろな食材に慣れている個体ほど、餌の切り替えや体調を崩したときの立て直しがしやすくなります。もし餌を食べなくなってしまったときは、拒食の原因と確認ポイントの記事も参考にしてみてください。
よくある質問
ハコガメに野菜だけを与えてもいいですか?
ハコガメは雑食性で、特に幼体は動物性の栄養を多く必要とするとされています。野菜だけでは栄養が偏りやすいため、人工飼料や昆虫などの動物性と組み合わせるのが基本です。
果物はどのくらいの頻度で与えられますか?
糖分が多く偏食にもつながりやすいため、週1回程度・少量のおやつにとどめるのが無難とされています。食欲が落ちたときの呼び水として使う方法もあります。
野外で捕まえた虫やミミズを与えても大丈夫ですか?
農薬や寄生虫のリスクが否定できないため、餌用として販売されているものを使う方が安心です。特に野外のナメクジやカタツムリは避けた方がよいとされています。
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