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トウブハコガメやミツユビハコガメと同じカロリナハコガメの仲間には、日本ではまず出会えない「幻」といえる亜種がいます。メキシコに分布するメキシコハコガメと、ユカタン半島のユカタンハコガメです。当サイトで紹介してきたトウブハコガメ・ミツユビハコガメ・フロリダハコガメ・ガルフコーストハコガメに続き、この2亜種を知れば、カロリナハコガメのグループを一通り見渡せるようになります。
この記事では、それぞれの特徴と分布、飼育を考えるならどんな環境になるかをまとめます。ハコガメ全体の種類選びは種類と選び方を先にどうぞ。
結論
メキシコハコガメとユカタンハコガメは、どちらもカロリナハコガメ(Terrapene carolina)の亜種で、メキシコだけに分布するタイプです。オスの頭部の発色がとても印象的なグループですが、生息国の持ち出し規制もあり、日本のショップやイベントで出会える機会はほとんどありません。
飼育環境の考え方自体はトウブ・ミツユビと共通の森林系のセオリーですが、熱帯寄りの地域の出身のため、冬眠はさせず通年加温での飼育が基本になります。実際に飼うことよりも、「カロリナハコガメの仲間の広がりを知る」という視点で楽しんでいただきたい2亜種です。
メキシコハコガメの基本情報
メキシコハコガメ(Terrapene carolina mexicana)は、メキシコ東部のタマウリパス州・サンルイスポトシ州・ベラクルス州あたりに分布する、カロリナハコガメの亜種のひとつです。甲長はおおむね18〜20cm程度とされ、トウブハコガメやフロリダハコガメと比べるとひと回り大きく、ガルフコーストに近いサイズ感に育つタイプです。
甲羅は高く盛り上がったドーム型で、色や模様は個体差が大きいとされます。そして何より目を引くのが、オスが成熟すると頭部がド派手に色づくことです。地味な甲羅とのコントラストもあって、成熟オスの顔つきはカロリナハコガメの仲間の中でも強烈な存在感があります。
生息環境は熱帯の湿り気のある森林で、雨でできた浅い水たまりなどを利用して暮らしているとされます。多湿を好む点は、当サイトでいつもお伝えしている森林系ハコガメの基本イメージそのままです。
ユカタンハコガメの基本情報
ユカタンハコガメ(Terrapene carolina yucatana)は、メキシコのユカタン半島(ユカタン州・カンペチェ州・キンタナロー州西部)に、飛び飛びに分布するとされる亜種です。
いちばんの特徴は、オスの白っぽい頭部です。明るい色の頭は他の亜種にはない独特の雰囲気で、一度写真を見ると忘れられません。明色の甲羅に星状に広がる模様が入るとされ、こちらも味わい深い亜種です。
細かい見分けポイントとしては、ミツユビハコガメの後ろ足の指が3本なのに対し、ユカタンハコガメは前後とも4本ずつある、という違いが知られています。
分類について少しだけ
当サイトでは、ミツユビ・フロリダ・ガルフコースト・メキシコ・ユカタンを「カロリナハコガメ(Terrapene carolina)の亜種」として紹介しています。一方、近年の分子系統解析では、ミツユビ・メキシコ・ユカタンをまとめて別のグループ(独立した種)として扱うべきだとする研究報告もあり(Martin et al. 2013、Molecular Phylogenetics and Evolution誌)、研究者の間でも議論が続いています。
飼育者にとって大事なのは、どの説をとっても「ミツユビ・メキシコ・ユカタンは互いに近い仲間」という点です。飼育環境の考え方も、この近さをベースにイメージするとつかみやすくなります。
日本で出会えるのか
結論からいうと、この2亜種を日本のショップや即売イベントで見かける機会は、現在ほとんどありません。アメリカハコガメ属はワシントン条約(CITES)の附属書IIに掲載されているうえ、メキシコは野生動物の国外持ち出しを厳しく規制しているため、そもそも生息国の外へ出てくる個体が非常に少ないのが実情です。
ハコガメ全般にいえることですが、現在の日本では野生個体(WC)の入荷は事実上なく、流通するのは国内で繁殖されたCB個体が中心です。その中でもメキシコ・ユカタンの繁殖例はごくわずかで、「いつか出会えたら幸運」というレベルの存在と考えておくのが現実的です。
もしハコガメをお迎えしたい場合は、飼育情報が豊富で国内CBの流通もあるミツユビハコガメやセマルハコガメから検討するのがおすすめです。お迎えの基本は購入ガイドにまとめています。
もし飼うなら: 環境づくりの考え方
環境づくりの基本は、トウブ・ミツユビと同じ森林系ハコガメのセオリーです。保湿性のある床材を敷いた陸場、全身が浸かれる浅い水入れ、ケージ全体24〜28℃+バスキングスポット30℃前後の温度、UVBライト——このあたりはスターターキットの記事で紹介している構成がそのまま当てはまります。
ひとつ大きく違うのは冬の考え方です。メキシコハコガメもユカタンハコガメも熱帯寄りの地域の出身で、北米のトウブハコガメのように寒い冬を土の中で越す暮らしをしていません。そのため冬眠はさせず、保温器具で通年加温して冬を越すのが基本になります。冬の温度管理は冬の温度管理の記事、多湿の保ち方は湿度管理の記事が参考になります。
食性は他のカロリナハコガメの仲間と同じく雑食で、幼体ほど動物質を多めに食べる傾向があります。餌の考え方は餌のバリエーションの記事と共通です。
まとめ
メキシコハコガメとユカタンハコガメは、カロリナハコガメの仲間の「南の果て」に暮らす、日本ではまず出会えない2亜種です。成熟オスの派手な頭部(メキシコ)や白い頭(ユカタン)など、写真を眺めるだけでも楽しい存在で、この2亜種まで知っておくと、トウブやミツユビを見る目もいっそう深まります。
カロリナハコガメの仲間をおさらいしたい方は、ハコガメの種類と選び方から各亜種の記事をたどってみてください。
よくある質問
メキシコハコガメやユカタンハコガメは日本で飼えますか?
飼育自体を禁じる法律はありませんが、生息国メキシコの持ち出し規制などにより、日本国内で流通する個体はほとんどいません。国内での繁殖例もごくわずかで、出会えたら幸運というレベルです。ハコガメのお迎えを考えている方には、国内CBの流通があるミツユビハコガメやセマルハコガメをおすすめします。
トウブハコガメとの飼育の違いはありますか?
環境づくりの基本は同じ森林系のセオリーですが、熱帯寄りの地域の出身のため、冬眠はさせず保温器具で通年加温して冬を越すのが基本と考えられます。多湿を保つ点、雑食で幼体ほど動物質を多めに食べる点は共通です。
ミツユビハコガメとはどういう関係ですか?
どちらもカロリナハコガメの亜種として扱われますが、近年の分子系統解析では、ミツユビ・メキシコ・ユカタンを互いに近いひとつのグループとして扱う研究報告があります。見た目や暮らしぶりをイメージするときも、ミツユビに近い仲間と考えるとつかみやすいです。
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