ハコガメを毎日観察していると、「甲羅のすき間に小さな黒い粒がついている」「首や脚の付け根に何かがくっついている」と気づくことがあります。屋外やベランダで過ごす時間が長い個体では、ダニなどの外部寄生虫が付くことがあるとされており、気温の高い季節はとくに注意したい時期です。また、目に見えない内部寄生虫(おなかの虫)も、ハコガメでは比較的よく話題になるテーマです。
この記事では、ハコガメに見られる外部・内部の寄生虫について、気づくためのチェックポイント、見つけたときの対処の考え方、日頃の予防のポイントを整理します。
結論
- ダニなどの外部寄生虫は、首・脚の付け根や甲羅のすき間など「やわらかい部分」を中心にチェックする
- 見つけても市販の殺虫剤を直接使うのは避け、数が多い場合や取れない場合は動物病院に相談する
- 内部寄生虫は外から見えないため、糞の様子や体重の変化がサインになることがある
- お迎えしたばかりの個体は、動物病院での健康チェック(検便)を検討すると安心につながる
- 予防の基本はケージと水場の清潔を保つこと、屋外飼育では定期的な体のチェックを習慣にすること
寄生虫は「見つけたら終わり」ではなく、環境の見直しと日頃の観察でリスクを下げていくものと考えると向き合いやすくなります。以下で順番に見ていきます。
ハコガメにつく外部寄生虫(ダニ類)とは
ハコガメの体表に付く寄生虫として知られているのが、マダニなどのダニ類です。野生下のカメや、屋外・ベランダで飼育されている個体、お迎えして間もない個体などで見られることがあるとされています。完全に室内だけで飼育している場合に付くことは多くないとされていますが、床材や植物などを介して持ち込まれる可能性はゼロではありません。
ダニ類が付きやすいのは、皮膚のやわらかい部分です。具体的には次のような場所を意識してチェックしてみてください。
- 首まわりや首の付け根のしわの間
- 前脚・後脚の付け根(甲羅に引っ込めたときに隠れる部分)
- 甲羅と皮膚の境目、甲羅のすき間
- 尾の付け根やその周辺
小さな黒っぽい粒や茶色い粒のように見え、皮膚にしっかり固着していることが多いとされています。日々の健康チェックのついでに、月に数回はこうした部分を意識して観察する習慣をつけると、早く気づきやすくなります。
ダニを見つけたときの対処の考え方
体表にダニのようなものを見つけたときに、まず避けたいのが「あわてて無理に引きはがすこと」と「市販の殺虫剤をかけること」です。
マダニ類は口の部分を皮膚に食い込ませて固着していることがあり、無理に引っ張ると口の部分が皮膚に残ってしまうことがあるとされています。また、昆虫用やヘビ・トカゲ用として売られている殺虫成分のある薬剤を自己判断でカメに使うのは、体への影響が心配なため避けたいところです。
対処の目安としては、次のように考えるとよいでしょう。
- 数が少なく、ピンセットなどで根元からゆっくり取れそうな場合は、皮膚を傷つけないよう慎重に取り除く(不安なら無理をしない)
- 数が多い、固着していて取れない、取ったあとの皮膚が赤い・腫れているなどの場合は、爬虫類を診てくれる動物病院に相談する
- 取り除いたあとは、ケージ内の床材交換や掃除もあわせて行い、環境側に残ったダニを減らす
もうひとつ知っておきたいのが、人への影響です。マダニ類はSFTS(重症熱性血小板減少症候群)や日本紅斑熱など、人の感染症を媒介することが知られており、厚生労働省や各自治体も、ペットに付いたマダニの扱いについて注意を呼びかけています。取り除いたマダニに人が咬まれてしまう可能性も指摘されているため、作業のときは素手で触らず、ピンセットや使い捨て手袋を使い、潰さないようにしてください。とくにマダニの活動が活発になる春から秋は、屋外で過ごした個体のチェックとあわせて、飼い主さん自身の防護も意識したいところです。
ダニがいた個体を触ったあとは、手洗いをしっかり行いましょう。数が多い・固着して取れないなど不安がある場合は無理をせず、落ち着いて対応することが大切です。動物病院の探し方や受診の準備は爬虫類を診てくれる動物病院の探し方で詳しくまとめています。
内部寄生虫(おなかの虫)のサイン
外から見えるダニと違い、内部寄生虫は目で確認できません。カメでは回虫や蟯虫などの消化管内の寄生虫が知られており、とくに野生由来の個体や、お迎えして間もない個体では保有していることがあるとされています。
内部寄生虫がいるかどうかは外見だけでは判断できませんが、次のような様子が続く場合は、可能性のひとつとして頭に置いておくとよいとされています。
- 糞の中に白い糸くずのようなもの、動くものが見える
- 下痢や軟便が続く、糞の状態が安定しない
- 食べているのに体重が増えない・痩せてくる
- 食欲や活動性が以前より落ちている
ただし、こうしたサインは寄生虫以外の原因でも起こります。自己判断で市販の駆虫薬などを使うことはせず、気になる場合は糞を持参して動物病院で検便を受けるのが確実です。糞はなるべく新しいものをラップや清潔な容器に入れて持って行くとよいとされています。餌を食べないときの確認ポイントや健康チェック習慣の記事もあわせて参考にしてください。
お迎え直後の個体は「検疫期間」を意識する
寄生虫対策として意外と大切なのが、新しくお迎えした個体の扱いです。ショップやイベントでお迎えした直後の個体は、外見が元気そうでも寄生虫を保有していることがあるとされています。とくにすでに他のカメを飼っている場合は、次のような点を意識すると安心につながります。
- お迎え後しばらく(数週間程度)は既存の個体とケージや用品を分け、様子を観察する
- 世話の順番は「先住の個体→新しい個体」の順にし、間に手洗いをはさむ
- 落ち着いたタイミングで動物病院の健康チェック(検便を含む)を検討する
お迎え時の個体の選び方や最初の1週間の過ごし方は、ハコガメのお迎えガイドで詳しく解説しています。
夏は「ハエ・ウジ」にも注意したい
気温の高い季節にダニと並んで気をつけたいのが、ハエによるトラブルです。屋外やベランダで飼育していると、餌の食べ残しや糞のにおいにハエが集まりやすくなります。動物全般では、皮膚の傷や汚れた部分にハエが卵を産みつけ、ウジがわいてしまう「ハエウジ症(蝿蛆症)」と呼ばれるトラブルが知られており、カメも例外ではないとされています。
健康で清潔に管理されている個体でまず起こるものではないとされていますが、次のような条件が重なるとリスクが上がると考えられています。
- 甲羅や皮膚に治りきっていない傷がある
- 体調を崩していて、動きが少なくハエを払いにくい状態になっている
- 食べ残しや糞が放置され、ハエが常に寄ってくる環境になっている
予防の基本は、ハエを「寄せない・触れさせない」ことです。夏場の屋外飼育では食べ残しと糞をその日のうちに取り除き、ケージや飼育スペースに防虫ネットや目の細かいフタをかけて、物理的にハエの侵入を防ぐと安心につながります。甲羅や皮膚に傷がある個体や体調が落ちている個体は、状態が落ち着くまで室内での管理に切り替えることも検討してみてください。甲羅の傷のケアについては甲羅の傷・欠けの記事で詳しくまとめています。
万一、傷のまわりにウジがついているのを見つけた場合は、見える分を取り除くだけで解決したと考えず、できるだけ早く爬虫類を診てくれる動物病院に相談してください。皮膚の奥に残っていることもあるとされ、自己判断での処置だけでは対応しきれない場合があります。
日頃の予防のポイント
寄生虫のリスクをゼロにすることはできませんが、日頃の管理で減らすことはできると考えられています。基本は次のとおりです。
- 水場の水を毎日交換し、糞はこまめに取り除く(ケージ掃除と水換えの頻度参照)
- 床材は定期的に交換し、湿ったまま長期間放置しない
- 屋外・ベランダ飼育では、野生の生き物や植え込みからダニが入り込む可能性を頭に置き、体のチェックの頻度を上げる(屋外飼育ガイド参照)
- 野外で採ってきた虫や野草を餌にする場合は、農薬だけでなく寄生虫の持ち込みリスクもあることを知っておく
とくに気温と湿度が高い季節は、ダニや虫の活動も活発になりやすい時期とされています。夏場は暑さ対策とあわせて、体表のチェックと環境の清潔維持を意識してみてください。
まとめ
ハコガメの寄生虫対策は、「やわらかい部分を中心に体表をときどきチェックする」「糞や体重の変化を記録する」「ケージと水場を清潔に保つ」という日頃の習慣がそのまま予防につながります。ダニを見つけても、市販の殺虫剤を直接使ったり無理にはがしたりせず、落ち着いて対応することが大切です。
内部寄生虫は外から見えないぶん、検便という形で動物病院に頼るのが確実な方法です。お迎え直後の健康チェックや、様子がおかしいときの早めの受診を心がけることで、大きなトラブルになる前に対処しやすくなります。ここで紹介した内容は一般的な目安であり、個体の状態によって適切な対応は変わるため、心配なときは自己判断せず動物病院に相談してください。
よくある質問
ハコガメにダニがついていたらどうすればいい?
無理に引きはがしたり市販の殺虫剤をかけたりするのは避けたいところです。数が少なければ根元から慎重に取り除き、多い場合や取れない場合は爬虫類を診てくれる動物病院に相談してください。あわせてケージの掃除と床材交換も行いましょう。
室内飼育でも寄生虫はつく?
屋外飼育に比べると可能性は低いとされていますが、床材や餌、新しくお迎えした個体などを介して持ち込まれることはあります。内部寄生虫はお迎え時点で保有していることもあるため、検便による健康チェックが安心につながります。
検便はどうやって受ければいい?
なるべく新しい糞をラップや清潔な容器に入れて動物病院に持参します。爬虫類を診てくれる病院かどうかを事前に電話などで確認しておくとスムーズです。
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